南青山アンティーク通りクリニック

南青山アンティーク通りクリニック

第十三話 俯瞰

令和六年九月二十九日(日曜日)

小高い丘

 私は、今、海抜数百メートルの、小高い丘の草むらの斜面に寝そべって、数キロ先を、ぼーとしながら眺めている。

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 私の大好きなポジション…俯瞰。

 人生、なるようにしかならない…今さらジタバタしても仕方ない。

黒点

 視線のずっと彼方に、黒点のようなものが見える。
 黒点ではなく、もしかすると人?
 ズームアップしてみると、何か<劇場>らしきものが見える。
 スーツ姿の大勢の人が集合している。

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 荘厳な建物もすぐ近くにある。

中継

 診療の合間にネットをちらっと見てみると、○×選挙の模様をネットで中継している。

佳境

 そう、今日は9月27日。
○×選挙は佳境…正念場を迎えているようである。
<劇場>ではなく<ガチンコ>かもしれない?
 私のような一庶民がわかるわけがない。

WORLDWIDE

 今はネット時代…
 そう言えば、ここ十年以上、出張先のホテルでしかテレビを見たことがない。

 時間が許す限り、WORLDWIDEの米国放送を聞いている。
 スマホなどのラインやインスタグラムなどを利用する<視覚機能>を使わずに、<聴覚機能>から情報を入れる。

もし私が投票券を持っていたら

近い将来、総選挙が行われるとしよう。
もし私なら、立候補していない<大谷翔平>と書くかもしれない。
私を知る人からすれば、選挙という選挙にほとんど行かない人が発する言葉?
 影の脚本家はどういう人と疑問を抱く…お叱りを受けても言い訳ができない。
選挙会場に行くこと自体が極めて稀…。

ブラックジョーク

ブラックジョーク…。
大谷選手がシーズンオフ限定の、米国大統領特別補佐官も面白い?
 2003年、ターミネーターのアーノルドシュワルツネッガーはカリフォルニア州知事。

米国放送発

トキは1週間前に遡る。
令和6年9月20日朝七時、八時頃?
はっきりした時刻は覚えていない。
いきなりのビッグニュースで起こされた。
眠りながらも、脳の一部が、ある米国放送の言葉に反応した?

Fifty-First

「SHOHEI OTANI Fifty-First Homerun…」と英語で、全米臨時放送が流れている。
 昨日、消し忘れた米国の放送局の音声が、耳元でささやいている。

 偶然、私はその臨時放送のときに覚醒。
「昨日まで確か48本だった…どうして51本?」
「48の次は49…」

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「私の脳もとうとう壊れたか?」と本当に思った。

もう一度、Fifty-First

でもさっき間違いなく、私は<Fifty-First>と聞いたような気がする?
 一体どうなっているの?
 一気に50-50を飛び越えた可能性もある。

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確認

 クリニックに出勤後に、ネットで検索すると、
 午前6時から8時までに2本ホームランを打ち、その日は6打数6安打3本塁打10打点。
3本目のホームランの、WORLDWIDEな全米臨時放送で、私が覚醒したことを確認できた。

納得

ようやく「なるほど」と納得。
 私が覚醒する一時間前後ほど前に、彼は50-50を達成していた。
 普段、LAのホームゲームでは私の診療時間開始とほぼ同時刻。
 その日はAway Gameで米国内の時差があり、日本ではサンライズより少し早い?

 時間を捲き戻さないと、数字の整合性がつかない。

メモリアルディ

 ある知人がクリニックへやってくる…彼は大谷の50-50に興奮している。
 令和6年9月20日は忘れることのできない歴史的な日であることは間違いない。

September 11

ニューヨークのSeptember 11を知らない人は米国人なら皆無。

ニアミス

 ボストン出張後にニューヨークに立ち寄ったのが、September 9&10。
 私の搭乗した米国機の職員は、September 11の前日にハイジャックらしいものが起きるであろうと言う情報は入手していた?

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ただ、その米国機が二機も貿易センタービルに直撃する情報まで入手していなかったようである。

脱出

 私と数年後輩の精神科医の二人は、結果論から言えば、ニューヨークを無事脱出。
 出発直前まで、空港で優雅に買い物をしていたもう一人の知人は、私たちとまったく同じ搭乗券を持っていたが、搭乗入り口で、一方的な搭乗人数制限なのか搭乗を拒まれる。
 私はかなり早くから搭乗して、機内でくつろいで、<今や遅し>と離陸を待っていた。

群れから離れる

 正規の航行券をもっていても、あと数歩で搭乗できるのに搭乗できない。
 上からの強硬的な命令としか考えられない…米国らしい…日本ではあり得ない。
その知人は搭乗直前に拒否されて、搭乗できずにSeptember 11に対峙する羽目になる。
私たちの<群れ>から離れた。

無視

 私が抗議しても無視…相手にしてくれない。  旅客機の搭乗口の扉は無情にも閉じられ、私はニューヨークを後にする。
 所持していたクレジットカードを数枚渡すのが精一杯。
 これを使って戻ってこいという意味…。

生命力

 信じられないような話であるが、すべて事実である。
 米国流のリスクマネージメントとしか言いようがない。
 生命力のたくましい最後の知人の一人は、数日後に無事帰国。

認知の衰え

 9月はメモリアルの連続。
 11日、20日、27日と続く。
 認知が衰え、すべて忘れてしまう日も意外に近いかもしれない。

ミラクル

 すべてに共通することである。
 最後の最後まで諦めない。
 諦めた瞬間、<大どんでん返し>などのミラクルは、逃げていく。
 ミラクルは偶然性もあるが、自分で手繰り寄せないとそう簡単に起きるものではない。

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