南青山アンティーク通りクリニック

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第三話 ちょっぴり早い、クリスマスイブ ―深紅のバラ―

予約

 朝の出勤時に△□銀行に立ち寄り、やや遠回りをしてクリニックに向かった。  その途中、たまたま○×の表参道店の前を通りかかった。
 そう言えば、今日はクリスマスイブ。
 丁度通りかかった際に、クリニックからの帰宅時にピックアップできるように予約。

 以上は去年までの話。

 今年のクリスマスイブは日曜日。
 イブの数日前にネットで予約しないといけない。

鬼の住家

 突然、今日はクリスマスイブであることに気づき、診療終了後に立ち寄っても売り切れていることがほとんど。
 今どき、先に予約しておくのが普通だと呆れかえっている。

 自宅には狂気の鬼たちがお腹を空かして待っている。
 今から鬼の住家に帰る。
 これはヤバいと思うが、致し方ない。
 食べたいなら自分たちで予約するなりしてほしい。
 今年は少し違う。

深紅のバラ

 数日前に米国から深紅のバラが自宅に届いた。
「この花、クリニックに持って行って…○×さんから届いたから」

風習の違い

 米国では、クリスマスイブを家族で過ごす。
 私のクリニックに数%の人は欧米人であるが、クリスマスイブに日程を合わせ、母国に帰国する人が大勢いる。
 日本では、若い恋人同士のスペシャルイベントはともかくとして、一般人にはひとつのイベントに過ぎない。
 ただ、表参道のクリスマスイルミネーションはスペシャル。

その一方で、地元住民にしてみれば、異常なまでの交通渋滞を引き起こすので、とても迷惑に感じる人もいる。

南青山アンティーク通りクリニック院長のブログイメージ

新しく登場したクリスマス・ツリー

 今年は、表参道の交差点から数十メートル離れた、骨董通り入口の三叉路に、12月以降期間限定のとても大きな新しいクリスマス・ツリーができた。
 帰宅時に少し遠回りをすれば、その前を通ることができる。

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あるスーパーに立ち寄る時にまじまじと眺めることができる。

理由

 いずれにしてもクリスマス用の深紅のバラの存在には、ある理由が隠されている。

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タイムスリップ

 これには話を数週間巻き戻さないといけないので説明が難しい。
 十一月の下旬。
「○×さんが、今、日本に来ている…相談があるので、ちょっとだけ話を聞いて欲しい?」
「わかった…」と即OKの返事。

異常事態

 土曜日の診察の最後に、無理やり時間を作り、話をじっくりと聞くことための時間調整。
 今さら初対面でもないし、最初は気軽に聞いていたが、すぐに異次元の異常事態が生じていることに気付く。

「ここまで何十年も我慢したよね…」としか言えない。

 東京都下で精神科救急を何十年もやってきたし、今の状況に対処できないとなれば、看板を下ろすしかない
 精神科的な緊急処置を施す。

迅速な対応

 個人的な過去最長診療時間を要した。  何十年ぶり記録を更新  診察費用は、米国で過去に何度もお世話になったので、お金をもらうわけにはいかない。  最後は、訪米時の御礼のひとつとして、という私の申し出を受け入れてもらった。

経過は良好

 その経過は順調…今は調子がいいようである…何よりである。

蝋燭

クリスマスイブ12月24日の誕生花サンダーソニアよりも、クリスマスイブには何故か赤い花が似合う。
 深紅のバラもよく似あう。
 お送りいただいた、そのバラを見ていると、二本のろうそくが付いている。

先取り撮影

 今の状態では、クリスマスイブまで深紅のバラが頑張りきれるかどうか疑問符がつく。
 そこで芸能界の正月番組の先取りではないが、写メに画像の記録を残さないといけない。

点灯

 或る日の診療終了後に、バラのろうそくに火をつけて、写メの撮影をした。

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 火事を引き起こす危険性も考慮し、ろうそくに火をつけるのは、不適当と考え、先撮りにさせていただいた。

揮毫(きごう)

 視覚がいい人は、その花のバックに、藤井聡太の扇子が三本並んでいることに気が付くかもしれない。



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 右端は二年前の十月に、渋谷のセンチュリーハイアットホテル能楽堂で行われた竜王戦第一局、豊島竜王とその当時は挑戦者としての藤井聡太の、二人の揮毫入りの扇子がある。
 中央は昨年の十月、同じ渋谷の能楽堂で行われた竜王戦第一局の彼の揮毫入りの扇子である。タイトルホルダーとしての防衛初戦である。
 左端は、先月の今年の十月、同じ能楽堂で行われた竜王戦第一局の彼の揮毫入りの扇子である。昨年に引き続き、八冠制覇後の初めての防衛戦である。
 二年以上前から毎年一本ずつ増えていたが、ほぼ100%のクライアントが気づいていない。
 三本揃って、扇子が三枚並ぶと、一際目立つその存在に気付く。

毎年、一本ずつ増える

 これはある知人がここに飾ってほしいという願いが込められた扇子が、連続三期二年以上に及んで一本ずつ増えて、とうとう三本になった。

四本目の扇子

 今年も圧倒的な強さで防衛を果たした。
 結果、現時点で来年十月に防衛戦第一局が予定されているので、四本目が並び立つ予定である。
 ただし、その知人が持ってきていただいたときにそうなるであろうという推測であるが…。​​

東京から地方へ

 竜王戦は渋谷センチュリーハイアット能楽堂を皮切りに地方を転戦する。
名人戦は椿山荘を起点として、同様に地方を転戦する。

缶ビール

 塩分たっぷりであるがゆえに、地元の名産骨付鳥はビールが最高に合う。
 が、アルコールは血管内壁に傷をつけ、動脈硬化の一因になる。

 幸いなことに、最近、突然アルコールに弱くなった。
糖質ゼロの350ccの缶ビール○×搾り1本で、ほどよく酔える。
 塩分が比較的少ない七面鳥には合わないかもしれないが、Healthy & Healthy。
 味覚の乏しい人にはぴったり。